コーチングとは? ティーチングとの違いや、やり方、ビジネスなどにおける必要性を解説!

ビジネスや教育などさまざまなジャンルで注目されているコーチングに興味を持っている方も多いのではないでしょうか。

今回は、コーチングの概要をはじめ、やり方や各分野における必要性などを解説します。

コーチングを学習する方法や本、おすすめの資格なども紹介しているので、スキル習得に向けてぜひ参考にしてみてください。

もくじ

コーチングとは

コーチングとは、クライアント(コーチングを受ける人)が目標を設定し、その目標を達成するための計画や実行を支援することです。

国際コーチング連盟(ICF)では、以下のように定義しています。

「コーチングとは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くことである」

ICFはどのようにコーチングを定義付けていますか?

コーチングの由来

コーチングは、馬車を意味する「Coach(コーチ)」が由来です。

馬車が目的の場所まで人を運ぶように、クライアント(コーチングを受ける人)の目標やゴール達成を助けることから派生しました。

コーチングの役割

コーチングは、相手の意思や感情、反応などに配慮して信頼関係を育む手段でもあり、主に組織・人間関係の課題解決に役立ちます。

たとえば、組織で意見が食い違って能力を充分に発揮できない社員も少なくないでしょう。コーチングをすることで、もつれた社員同士の関係を改善して、チームを健全に戻せる可能性があります。

また、コーチングは相手を対象とするだけでなく、自分を対象として行うことも可能です。いわゆるセルフコーチングであり、自分を成長に導くのにも役立ちます。

向いている人

コーチングと聞くと、上下関係を連想してしまう方もいるでしょう。

すでにお伝えした通り、コーチングは相手と対等な立場で関わる行為です。上の立場を利用して自分の優位性をひけらかす手段ではありません。

その点をふまえると、自分のエゴをコントロールして、相手に寄り添える資質が必要だといえます。

日頃から人と誠実に関わることができている方であれば、コーチングは向いているでしょう。

コーチングと、ティーチングやカウンセリングの違い

コーチングと似たような言葉として、ティーチングやカウンセリングがあります。意味が同じように感じるかもしれませんが、よく考えると大きな違いがあることに気づけます。

コーチングとティーチング、カウンセリングの違いを解説します。

ティーチングとの違い

ティーチングは指導者が後天的な力を相手に教えて導いていく方法といわれています。その一方でコーチングは能力を引き出す方法であることから、先天的な力を湧現させて導いていく方法だといえます。

指導者が開発する能力が、後天的な力か先天的な力かどうかが、大きな違いだということです。

スポーツや部活のコーチ(指導者)は、コーチングではなくティーチングをしていると言えるでしょう。

カウンセリングとの違い

カウンセリングは一般的に不安や悩みを解消するための対話です。たとえば、心理カウンセラーは、病気やストレスなどからくる不安や悩みなどに寄り添うことで、相談者を支援して回復を目指します。

コーチングによって不安や悩みを解消できるケースもあるかもしれませんが、あくまで副次的な結果に過ぎないでしょう。

コーチングを学ぶメリット

コーチングについて概要をお伝えしました。コーチングについて興味を持っていただけたのではないでしょうか。

コーチングスキルは一朝一夕には習得できません。学ぶメリットを明確にしておかなければ、途中で挫折してしまう恐れもあります。

引き続き、コーチングを学ぶメリットについて解説します。

人材育成に自信を持てる

社会では、いずれの組織でも後継者を育てる必要があり、人材育成が不可欠です。ただ、人材育成の方針を誤ってしまうと、後継者の能力をうまく引き出せないこともあります。

人材育成のやり方によっては、後継者から反発を受けてしまい、最悪のケースではチームから離脱されてしまう場合も想定されます。

その点、コーチングは一方的に押しつけるような指導ではありません。対象者との信頼関係を育みながら円滑に人材を育てられます。コーチングスキルを習得しておけば、人材育成に自信を持って取り組めるようになるでしょう。

副業に活かせる

コーチングスキルは副業に活かせることもあります。

たとえば、株式会社NTTドコモの新規事業創出プログラムで企画検証された中高生向けキャリア教育事業「はたらく部(運営:アルファドライブ)」では、はたらく楽しさを学生に伝えたいと感じている副業社会人コーチを募集(業務委託契約)していることが、2023年5月2日にプレスリリースで報道されました。
参考:「はたらく部」、副業社会人コーチを募集!子育てに活かせる(アルファドライブ)

具体的な活動は、月1~3回の授業と、授業時間外の学生との対話などです。コーチのグレードと稼働に応じた報酬が支払われます。

コーチというと指導的な意味合いが感じられますが、対話を通じてやりたいことを見つけるきっかけを与えることから、業務の内容はまさにコーチングだといえるでしょう。

コーチングスキルを習得しておけば、このように副業で稼げるチャンスを得やすくなるでしょう。

子育てに活用できる

すでに子育てコーチングという言葉も知られるようになっており、コーチングスキルは子育てに役立てることもできます。

コーチングは、子ども自らやる気を引き出せるようにして、子どもの問題行動を減らすのに効果的です。価値観の押し付けによって親子関係を乱すリスクも軽減できる可能性があります。

子どもに幸せになってもらいたい気持ちが強く、教育が空回りしている方であれば、スキル習得が解決の糸口になるかもしれません。

自分の目標達成に役立つ

コーチングは、自分の目標を達成するのにも役立ちます。

自分で自分の内側にある課題を発見し、目標達成に向けてポジティブな行動を促せます。自己認識や自己充足を高めて、自信を持ってキャリア設計に望むことも可能です。

一般的にコーチングは他人に実施しますが、自分に行う場合は心理的な負担やストレスがなく、スムーズに実施できます。

コーチングの実施者を見つける労力と、コーチングを依頼するコストも削減可能です。

コーチングスキルを身につければ、生涯にわたって自分を正しい方向に導きやすくなるはずです。

コーチングの必要性

コーチングのメリットについてお伝えしました。コーチングのメリットをさらに詳しく理解するには、さまざまな場面で役に立つことを知る必要があります。

ここでは、ビジネスやゲーム、看護など、各分野におけるコーチングの必要性について解説します。

ビジネスにおける必要性

ビジネスでは、自分で考えて自走する力が求められます。

上司や管理職の立場からしても、いつまでも部下や新入社員に指示を出し続けるのは負担が大きいでしょう。

その点、コーチングは対話をして自分で考えさせる行為です。部下や新入社員に気づきを与え、一人立ちするためのきっかけを与えられます。

ゲームにおける必要性

近年はオンラインゲームが普及し、本格的にゲームで協力対戦できるようになりました。ただ、対戦で勝利するためには協力者のゲームスキルを高める必要があります。しかし、言葉の選び方に失敗すると、言い争いになるケースもあり得るでしょう。

コーチングスキルは対等な関係で相手の能力を引き出す技術です。コーチングスキルがあれば、円満な関係を築きながら協力者のゲームスキルを向上させやすくなります。

看護における必要性

一般社団法人看護コーチ協会によると、看護の現場では権威を持つ指示命令タイプのリーダーは、人間関係の悪化や離職率の高い職場を作りだしてしまうとのことです。

また、看護師がコーチであれば、明確な答えや前例がなくても主体的に課題に対応して、医師や療法士、介護士といった医療チーム、地域の専門家と協働しやすくなるという見解も示しています。

看護の現場でもコーチングを学んでおけば重宝されるに違いありません。

参照:看護のベースにコーチングがあれば(一般社団法人看護コーチ協会)

スポーツにおける必要性

技術を指導するだけでは、必ずしもスポーツを上達させることはできません。スポーツは瞬時の判断にもとづくアクションが必要な活動であり、教えてもらうだけでなく自分で考える力が必要になるからです。

コーチングは対象者を指導するというより、気づきをもたらし自発的な行動を促す対話です。スポーツにおいてもコーチングを取り入れれば、臨機応変に対応できるプレイヤーを育成できるでしょう。

教育における必要性

オンラインコーチングスクールを運営するCOLORFUL Uによると、家庭教育を含む学校教育の多くは、生徒一人ひとりの可能性を伸ばすような教育制度になっておらず、個性を抑え込む形になっている傾向が見られるとのことです。

その点、人の目標達成や成長を支援する技術のコーチングであれば、教える側と教えられる側の両方をより幸せにできる可能性があるという見解を示しています。

たしかに対話をベースとしたコーチングであれば、子どもに与えるストレスも和らげられる可能性が期待できます。教育分野にコーチングが普及すれば、子どもが主体的に個人の能力を伸ばせる環境が整いやすくなるのではないでしょうか。

参考:Colorful Uは、2030年までにコーチングを日本の全ての家庭と教育現場に導入します(Colorful U)

交通安全における必要性

交通安全の分野では、ドライバー教育でコーチングの必要性が注目されています。

コーチングによって、運転者に自分の運転に関する自己評価をする機会を与え、安全性を高めるための目標を設定させられます。運転に対する慢心や油断を抑えることで、交通事故のリスクを減らしやすくなるでしょう。

教習所では、教官の指導が生徒を萎縮させるケースも珍しくありません。その点、コーチングは対等な関係で行われるので、生徒は教官に怯えることなく冷静に運転技術を学べるでしょう。

コーチングのやり方

コーチングの概要や必要性などを知って、コーチングを実践してみたいと思った方もいるでしょう。コーチングは専門知識がなければ実施できないというわけではありません。

ここでは、簡単なコーチングのやり方について解説します。

話を聴く

コーチングは、なんだか難しそうだと思う方もいるかもしれませんが、「話を聴く」というシンプルな行為から始まります。

話を聴くのは誰でもできそうですが、実は難しいことです。話を聴いている途中で、自分の考えを押しつけたり、相手を否定したりして、話を遮ってしまう方も珍しくありません。

コーチングの対象者が自分のことを話しづらくなれば、コーチングにおける対話が成立しなくなります。得られる情報が少なくなり、コーチングの効果も薄れてしまうでしょう。

したがって、コーチングを行うときは話を聴くことに集中することが重要です。

質問をする

もちろん話を聴くだけではコーチングとは呼べません。コーチングのやり方の基本は、質問をすることです。

命令をすると対象者から反発されて、対象者のモチベーションを下げてしまう恐れがあります。その点、対象者に質問をすれば、問いかけた内容について自分で考えてもらえます。

たとえば、「もっとチームのことを考えましょう」と命令すれば、「もう考えているよ…」と思われてしまうかもしれません。

その一方で、「チームに対してあなたができることは?」と質問すれば、「新入社員に対するサポートが不足していたかも…」というように、前向きに内省してもらえるかもしれません。

コーチングのやり方に迷ったときは、命令ではなく質問をすることを心がけましょう。

コーチングの学び方

コーチングの学び方はさまざまあります。コーチングスキルをストレスなくスムーズに習得するには、自分に適した方法を選択することが大切です。

ここではコーチングの学び方を解説します。

コーチングスクールに通う

コーチングを独学するのが難しいと感じるのであれば、コーチングスクールに通うという選択肢があります。

コーチングスクールは、職場・家庭でコーチングを実践したい方や、プロのコーチを目指したい方など、幅広い要望に応じて柔軟にコーチングを学べる学習環境です。

授業で実際にコーチングを受けられることもあり、独学より実践的なスキルを習得しやすいでしょう。

自宅でオンライン受講できるスクールもあり、仕事や育児で通う時間が取れない方でも、自分の都合に合わせてコーチングを学べます。

コーチングに関する書籍を読む

コーチングスクールに通う費用が高いと感じる場合は、コーチングに関する書籍を読むのもおすすめです。

書籍であれば数千円の費用でコーチングの学習を始められます。フリマアプリを活用すれば、数百円程度で販売されていることもあるので、さらにコストを抑えられるでしょう。

最近ではコーチングに関する電子書籍も普及しているため、書籍を持ち歩かなくても外出先の隙間時間にコーチングを勉強することも可能です。

コーチングに関する書籍については本記事でも紹介しているので、気になった本があればぜひ活用してみてください。

コーチングの資格を取得する

コーチングをスクールや書籍で学んでも、実力を証明できなければ社会で活かしづらいです。チームのメンバーやクライアントに自信を持ってコーチングをするには、資格の取得も検討する必要があります。

社会で通用するコーチングの資格を取得するには、指定のトレーニング時間やコーチング経験が必要とされます。

資格を取得するために、クライアントへの有償コーチングを経験すれば、座学では得られない実践力を習得可能です。

うわべではなく実務に役立つコーチングスキルを習得したいのであれば、コーチングの資格取得を学習プロセスに組み込んでみましょう。

コーチングの本

コーチングの学び方で触れた通り、コーチングスキルを習得するのに本も有効です。ここでは、コーチングを学ぶのに役立つ本を5つご紹介します。気になった書籍があれば、ぜひ活用してみてください。

目からウロコのコーチング なぜ、あの人には部下がついてくるのか?

数多くの経営者・管理者を導いてきたカリスマ講師が、実際に使えるコーチングをわかりやすく解説しています。

ホステスを例に挙げるなど、独自の視点からコーチングの心構えを伝授しているのが特徴です。

部下がついてきていないように感じる管理職の方は、本書で相手の心に届くコーチングの実践的具体例を学んでみてはいかがでしょう。

【基本情報】

価格880円(税込)
発売日2020年2月4日
著者播摩早苗
出版社PHP研究所

新 コーチングが人を活かす

¥1,760 (2023/11/06 11:50時点 | Amazon調べ)

第一人者がさまざまな事例を交えながらコーチングスキルのツボを解説した本です。

相手と自分の発見をうながすレッスン、相手と信頼関係を築くレッスン、主体的な行動をうながすレッスンなどが掲載されています。

2000年に刊行されて以来、最良の入門書として高く評価されたロングセラーとなっており、コーチングの進化も反映されて最新版となっています。評判を重視して本を選ぶ方でも安心して活用できるでしょう。

マンガでやさしくわかるコーチング

ビジネスや教育、スポーツなどさまざまな分野で活用されるコーチングの基本をストーリーのある漫画と解説で楽しみながら学べる書籍です。

飲料メーカーに勤める主人公はマネージャーに抜擢されますが、自分流のマネジメントが通用せず苦しみます。

コーチングと出会って部下や家族との関わりを通して成長していく主人公の姿から、コーチングの本質を学んでみてはいかがでしょう。

【基本情報】

価格1,650円(税込)
発売日2014年3月22日
著者CTIジャパン(作画:重松 延寿) 
出版社日本能率協会マネジメントセンター

人生を変える!「コーチング脳」のつくり方

プロコーチ養成スクールで1,800人以上の優秀なコーチを輩出する主任講師が手がけたコーチングの教科書です。

コーチングにおける目的と目標の関係や、コーチングの基本モデル、コーチングの時間の使い方など、コーチングについて気になるトピックが満載です。

著者がコーチングを学ぶきっかけとなった出来事も紹介しているので、コーチングの必要性についても理解しやすいでしょう。

【基本情報】

価格1,540円(税込)
発売日2021年4月21日
著者宮越大樹
出版社ぱる出版

この1冊ですべてわかる 新版 コーチングの基本

人材開発から組織開発に変化しつつあるコーチングの新潮流を徹底解説した一冊です。

コーチングの概要をはじめ、目標達成までのコーチングのプロセスや、クライアントの成長を促進する視点、7つの対話構築スキルなどを解説しています。

企業の経営者をコーチングする具体的な対話例も掲載。一般のビジネスパーソンが基本書として活用できるだけでなく、コーチングのプロを目指す場合にも役立つでしょう。

【基本情報】

価格1,760円(税込)
発売日2019年1月12日
著者コーチ・エィ(監修:鈴木義幸)
出版社日本実業出版社

おすすめのコーチング資格

コーチング資格はたくさんの種類が存在していますが、知名度が低い資格だと実力を示せない恐れがあります。

知名度の観点から、コーチング資格の中でも特におすすめなのが、国際コーチング連盟ICF認定資格です。

ICF認定資格は、国際コーチング連盟(ICF)が実施している世界的に知れ渡っているコーチング資格です。

国際コーチング連盟は25年以上にわたって、コーチングの能力向上を牽引してきた団体であり、これまで143か国・地域において49,000人以上のコーチを輩出してきました。

ICF認定資格を取得することで、コーチングスキルを開発できるのはもちろんのこと、コーチングのプロフェッショナルであることや、コーチングにおける倫理規定に遵守していることなどをクライアント・同僚などに証明できます。

資格取得に必要な教育・経験の量に応じて、ACCアソシエート認定コーチ(トレーニング時間60時間以上)、PCCプロフェッショナル認定コーチ(トレーニング時間125時間以上)、MCCマスター認定コーチ(トレーニング時間200時間以上)の3種類に分かれており、自分のレベルに適した資格を選んで挑戦できます。

社会で通用するコーチングスキルを習得したいのであれば、ICF認定資格は選択肢から外せない資格なので、ぜひ取得を検討してみてください。

まとめ

コーチングとは、相手の話を傾聴しながら能力を引き出していく対話方法です。

コーチングを学べば、マネジメントに自信を持って携われたり、副業を獲得できるチャンスを増やしたり、自分の目標達成に役立てたりすることもできます。

コーチングは、ビジネスやゲーム、看護、スポーツ、教育、交通安全など、あらゆる分野で役立つ可能性があります。

ご自身の職種でもコーチングを活かせるかもしれません。ぜひスクールや書籍、資格などを通してコーチングスキルを習得してみてはいかがでしょう。

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