自立に向けて日々の暮らしを精一杯生きている方も多いでしょう。
ただ、自立すれば深い人生を送れるとは限りません。自立した生き方だけでなく、自律した生き方を目指す必要もあります。
後悔しない生き方を目指すにあたって、自立と自律の違いについて理解を深めることも大切です。
今回は自立と自律の意味をおさらいしたうえで、それぞれの違いについて簡単に解説します。自立と自律の違いが分かりやすくなるように、自主自律や自律心を含む関連用語についても挙げました。
言葉の違いに触れながら自立と自律について理解を深めてみてください。
【この記事でわかること】
- 自立と自律の違いは、自分の考えに基づき行動する意思の有無です。
- 自立している人は、基本的に経済的・社会的に安定した生活を送っており、他者の幸せを願う傾向もあります。自律している人は、自分の行動や感情を制御するのが得意であり、自分らしい過ごし方を追求する傾向もあります。
- 自立していても他者の考えに束縛されている人もいます。自分が本当に望む生き方をするには自律を目指すことも重要です。
自立と自律の違いは?
自立と自律は同じく「じりつ」と読みますが、よく比較してみると意味が大きく異なります。
いずれも人の生き方に関する重要な言葉であり、違いをよく理解しておくことが重要です。
自立と自律の意味をおさらいしてからそれぞれの違いについて簡単に解説します。
自立の意味
自立とは、自分だけの力で行動して生きることを意味します。
英語ではIndependentやSelf-reliantなどと表記されます。
何かに寄りかからずに立つというニュアンスを持つため、ほかの人から助けを受けないで行動できる人は、自立している人として認識されやすいです。
日本人は二十歳になると成人しますが、成人した大人は基本的に自立することが求められます。
ただ、人によって境遇はさまざまであり、成人してもうまく自立できないケースも珍しくありません。夢や目標に向かって歩みを進めながら自分のペースで自立を目指す人もたくさんいます。

実際のところ、自立が難しいときは人からサポートを受けることも必要です。
自律の意味
自律とは、ほかからの束縛を受けずに自分で決めたルールに従うことを意味します。
英語ではautonomyと表記されます。
自律の意味を理解するうえで参考になるのが自律型ロボットや自律神経です。
自律型ロボットは人間の操作によらず自ら状況を判断して行動します。自律神経は人間の意思に関係なく刺激に反応して、内臓や血管などの運動や腺の分泌などを制御します。
自律の意味を理解するには対義語である他律の意味を知ることも大切です。他律とは、他人の命令や決められたルールなどに従うことを意味します。
自律は、単にルールに従うことを意味するのではなく、自ら設定した決まりに従うことを意味することが分かります。

自分で決めたルールを守っている人は自律している人だと解釈できそうですね!
自立と自律の違いは「自分の考えに基づき行動する意思の有無」
自立と自律の違いは自分の考えに基づき行動する意思の有無です。
自立している人は他人に頼らずに生きられますが、他人の決めたレールに従って人生を生きている人もいます。
たとえば、親から医者になるようにいわれて医者になったとしましょう。医者になって診療や手術などをして生計を立てれば、他者の力を借りずに生きていることになります。誰から見ても自立した人生です。
ただ、親に従いなんとなく医者になっていた場合は、自分の考えに基づき行動する意思が欠如しています。
自分の考えに基づき行動する意思があれば、医者以外にもっと自分の能力を生かせる職業と出会えた可能性もあるでしょう。

世間では自立が美徳とされやすい傾向にありますが、人生を充実させるには自律も重要だと考えられますね。
自立している人間の特徴
自立と自律の違いを理解するうえで、自立している人の特徴と自律している人の特徴を深く知ることも大切です。
まずは自立している人の特徴からご紹介します。
自立している人の特徴の例は下記の通りです。
- 自分の生活費を自分の力だけで稼いでいる
- 決められた税金を人に頼らずに支払っている
- 自分だけで生きていけるという確固たる自信を持っている
- トラブルが起きたときはひとまず自分で解決を試みる
- 将来働けなくなったときに備えて貯蓄に専念している
- 老後に子どもに迷惑をかけないように終活に取り組んでいる
- 他人の生き方をサポートするだけの余裕がある
- 自分の強みを生かして組織やチームに主体的に貢献している etc.
自立している人は、基本的に経済的・社会的に安定した生活を送っていることがほとんどです。
さらに生活に余裕がある方だと、他者に貢献して生きがいを得ようとする傾向も見受けられます。

自立することで人の幸せを願う余裕も生まれ、人から感謝される機会も多くなります。生きがいも感じやすくなるでしょう。
自律している人間の特徴
自立している人の特徴をご紹介しました。続いては自律している人の特徴をご紹介します。
自律している人の特徴の例は下記の通りです。
- 自分の考えや意見を持っている
- 不必要に他人の考えや意見に同調しない
- 他人に怒られてもあまり落ち込まない
- 他人と比較して自分を卑下しない
- 間違っていることに対して客観的に改善を提案できる
- 自分で決めたことは最後までやりきる
- 暴飲暴食といった生活習慣の乱れが少ない
- ウォーキングやジョギングなどを行い健康に配慮している
- 辛いことがあっても簡単には弱音を吐かない
- 自分のプライベート時間を大切にしている
- 指示を受けなくても自分の判断に基づき行動できる etc.
自律した人間とは、自分の行動や感情を制御できる人です。自分の生き方に信念を持っており、規則正しく健康的に自分らしい過ごし方を追求します。

自立していても社会的に不自由な思いをしている方もたくさんいます。自分らしい生き方を目指すのであれば、自律している人の生き方も参考にしてみるとよいでしょう。
自立と自律の違いがよくわかる言葉の具体例
自立と自律に関する言葉はたくさんあります。関連する言葉を比較することで、自立と自律の違いについて深く理解しやすくなるでしょう。
ここでは自立と自律に関する言葉の具体例を挙げてそれぞれの違いを解説します。
自立心と自律心の違い
自立心とは、人に頼らずに自分で行動しようとする気持ちです。自立心が弱いと周囲の人々に依存しすぎてしまい、主体的に行動しづらくなります。
自律心とは、自分で決めたことを自分で守ろうとする気持ちです。自律心が弱いと目標達成に向けた行動がおろそかになりやすくなります。
親が教育によって子どもを自立させるのが一般的であることから、自立心は自律心と違い他者にいわれたことを守ることでも育めます。

自身と向き合い、一歩一歩しっかり人生を歩んでいくためには、自立心と自律心の両立は大切だと考えられますね。
自立型人材と自律型人材の違い
自立型人材とは、自分で考えて他人を頼らずに行動できる人材です。
わからないことがあっても自分で考えて最適解を見つけて行動します。教えないと動けない新人や若手社員と違って、上司や先輩の立場からすると指導の負担が減り、心強い存在でしょう。
自律型人材とは、自分が設定したルールに基づいて行動できる人材です。
組織や上司、先輩が決めたルールに疑問があれば、単純に従うのではなく柔軟に改善案も提案します。組織に新しい風を吹かせる役目を果たす貴重な人材として重宝されやすいです。

自律型人材は自立型人材と違い、支配や束縛を嫌う傾向も想定されるため、既存のルールに固執する組織風土であれば組織に馴染みづらいこともあるかもしれません。
自立学習と自律学習の違い
自立学習とは、指導者がいなくても勉強することです。
たとえば、子どもが自宅で先生や両親を頼らずに1人で勉強している場合、自立学習の姿勢が定着していることになります。
自律学習とは、自分で必要だと思うことを計画的に勉強することです。
留学をしたい方が自ら計画的に英語を勉強する場合や、ITエンジニアになるという目標に向けてプログラミングを勉強する場合などは、自律学習をしていることになります。
自立学習と自律学習の違いは、自分で学ぶべきことを決めているかどうかです。1人で学べば自立学習ですが、自分で学ぶことを決めていない場合は自律学習とはいえません。

自律学習をしている人は、目的意識が高くて知識の吸収力も高いです。勉強で成果を高めるには自立学習だけでなく自律学習まで意識するとよいでしょう。
自立自走と自律自走の違い
自走は車輪や動力によって自分の力で走ることを意味します。
その点をふまえると、自立自走は他人に頼らず自分の力で前に進んでいくこと、自律自走は自分の規範に基づき自分の感情や欲望などを制御しながら前に進んでいくことです。
自立自走と自律自走はいずれも自分の力で前に進むという点では共通していますが、自分を制御する必要性の有無が大きな違いだと分かります。

どちらの自走も簡単なことではありません。日頃の生活や仕事で主体的に行動することを心掛け、日々トレーニングを重ねていくことが重要です。
福祉の仕事の観点からみる自立と自律の違い
福祉とはシンプルに幸せを意味する言葉です。
福祉の仕事は、人が幸せに生きられるように看護や介護、保育、教育などに関する社会的な支援をする仕事です。福祉の仕事では、自立と自律の違いを理解しておくことで、より深い働き方、育成ができるようになります。
引き続き、看護や介護、保育、教育などの観点から自立と自律の違いを解説します。
看護・介護における違い
看護とはけが人や病人の手当てや世話をすることであり、介護とは高齢者や障がい者などの日常生活の世話をすることです。
看護・介護における自立とは、対象者が自分でできることを増やすことです。
看護師や介護士が食事を食べさせることもできますが、自力で食べてもらうことで残存機能の維持や上肢の機能回復などを促進しやすくなります。
看護・介護における自律とは、対象者が自分の希望するケアを受けることです。
自分の状況を理解したうえで納得できるケアを選択し、自分らしい生活を取り戻したり生活を見直したりできるようにします。個人の意思の尊重を重視する点が自立との違いだといえるでしょう。

患者や高齢者、障がい者の方々を支援するうえでも自立と自律の違いを理解しておくことは重要です。
保育における違い
保育とは、子どもの心と体を保護して育てることです。
保育における自立とは、両親や保育士、幼稚園教諭がいなくても、日常生活でトラブルを起こさず健康的に過ごせるようにすることです。
食事やトイレ、着替え、運動、遊び、危険回避などを自分でできるように育てば自立したといえます。
保育における自律とは、自分の判断で行動したり、嫌なことを我慢したりできるようにすることです。
友達におもちゃを貸したり、お母さんに迷惑をかけないために欲しいものを我慢したりできるように育てば自律したといえます。自立と違って特に意思の制御が求められるといえるでしょう。
子どもは守るべき対象なので、親の立場としては干渉しすぎてしまうこともあります。ただ、行動の機会を奪うと自立できなくなり、判断の機会を奪うと自律できなくなるかもしれません。

保育においては過干渉にならないように注意が必要だといえるでしょう。
教育における違い
教育とは、知識や技能、考え方、態度などを教えて育てることです。
教育における自立とは、両親や先生を頼らなくても生きていけるように、家事や仕事の基礎を習得させることです。
自分だけで食材を調達して料理したり、自分の知識や技能を提供して生計を立てたりできるように育てば自立したといえるでしょう。
教育における自律とは、子どもが自分の進むべき道や生き方を自分で決められるようにすることです。
志望校を自分の考えに基づいて決めたり、善悪を自分の価値観で正しく判断したりできるように育てば自律したといえます。自立と違い教えるのではなく判断させることで育みます。

教育においては、知っていることをすぐに教えるのではなく、必要に応じて考えさせることも視野に入れてみましょう。
自立したい・自律したいときにはコーチングの学習がおすすめ
自立した人・自律した人を目指す姿勢は、人生を充実させるために必要不可欠です。
とはいえ、自立した人・自律した人になるのは簡単ではありません。自立するには何をすればよいのか、自律するには何を学ぶべきか、答えが出ない方もいるでしょう。
自立したい・自律したいのであればコーチングの学習がおすすめです。
コーチングとは、対象者が自ら目標を立てアクションを起こせるように支援する対話です。
自立・自律にコーチングがおすすめの理由は主に下記の通りです。
コーチングの本質は主体性を引き出すことだから
他人の立てた目標であれば納得できず、前向きに行動できないこともあります。あくまで目標の設定を他人任せにせず、自分の意志に基づき目標の達成を目指す必要があります。
その点、コーチングは形式的に目標を立てさせ、行動を強要する行為ではありません。自立自走・自律自走できる主体性を育む行為です。
コーチングを学んで主体性を育むための知識やスキルを習得すれば、自分自身にセルフコーチングをすることで、自立した生き方・自律した生き方を目指せるはずです。

自立したい・自律したい人は、コーチングを受けるよりも学んだ方が早く、結果コスパも良いというケースが実は多いです。ぜひコーチングの学びを取り入れることも検討してみてくださいね。
コーチングの概要について詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。


自立・自律に向けてコーチングを学べるスクール

自立したい方や自律したい方には、コーチングを学ぶのがおすすめだとお伝えしました。
ただ、コーチングは本やWebサイトなどで学んでも表面的な知識しか得られず、本質的な考え方を理解するのが難しいです。実際にコーチングを実践しながら学ぶ必要があります。
コーチングスクールであれば実践を伴う学びの環境が整っています。
たとえば、CAM Japanでは習うより慣れるの方針に基づき、実践やワークの体験を通じてコーチングを学べます。
コーチングを学びながら人格とコミュニケーション力を鍛えられるカリキュラムです。
コーチングにおいても自立と自律の要素は大切になってくるため、学びを取り入れることで自然と自立した人や自律した人に近づいていけるでしょう。
オンラインの無料説明会でコーチングに関する疑問を解決できます。

自立した人生、自律した人生を送るための一歩を踏み出すために、まずは質疑応答も可能な無料説明会をぜひ活用してみてくださいね。
結論|人生を躍動させるには自律も不可欠
自立は他人に頼らずに行動することであり、自律は自分の考えや価値観に基づき行動することです。
自分の人生は他人ではなく自分が生きるものです。自立できたとしても、他人の敷いたレールを生きる人生だと、心は躍動しないでしょう。
まだ自立できていない人、すでに自立している人も、これからご自身が納得のいく自律した人生を歩めることを願っています。

自立と自律を目指すきっかけとして、ぜひコーチング学習も取り入れてみてくださいね!
自立と自律に関するよくあるQ&A
自立と自律の違いについてお分かりいただけたでしょう。さらに違いを理解できるよう、自立と自律に関するよくある疑問にQ&A形式で回答します。