ビジネスにおいて高い専門性を持つことは重要ですが、技術的な知識やスキルだけでは解決できない問題も多いです。
例えば、「チームのメンバーと協力して仕事を進める」「クライアントの要望を正確に聞き取る」「予算の交渉を行う」といったケースでは、技術的な知識やスキル以外の能力も必要になるでしょう。
このようなケースで求められる能力のひとつが「パーソナルスキル」です。
この記事では「パーソナルスキルとは何か?」「なぜ重要視されているのか?」「どのように磨いていけば良いのか?」について説明していきます。
「言葉は聞いたことあるけど、よく分かっていない……」「パーソナルスキルの高め方を知って、キャリア形成に活かしたい!」という方はぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
- パーソナルスキルは人間的側面に関係するスキルのことです。
- コミュニケーション能力やリーダーシップがパーソナルスキルに該当します。
- さまざまな業種・職種において共通して役に立つのがパーソナルスキルの特徴です。
- 環境の変化が早い現代ではパーソナルスキルの重要性が増しています。
- パーソナルスキルは意識的に行動すれば高めることができます。

ビジネスにおいても重要性が高まっている、パーソナルスキルについて分かりやすく説明していきます!
パーソナルスキルとは?
「パーソナルスキル」とは、これまでの人生経験やキャリアの中で培われた能力の中で、人間的側面に関係するようなスキルのことです。
どのような職種・業種においても必要で、たとえ現在の業務や専門分野を離れたとしてもパーソナルスキルは役に経つでしょう。
「協調性が高い」「時間管理が得意」「周りと異なる着眼点を持っている」などがパーソナルスキルの例として挙げられます。
パーソナルスキルの意味・定義
パーソナルスキルは経済産業省が策定した「ITスキル標準(ITSS)」や「デジタルスキル標準」に規定されています。
例えば、高度なIT人材を育成するための指標であるITスキル標準の場合、スキルは「テクノロジ」「メソドロジ」「ビジネス/ インダストリ」「プロジェクトマネジメント」「パーソナル」の5つに分類されています。
そして、パーソナルスキルについては、ITスキル標準の中で「業務を遂行する際に必要とされる人間的側面のスキル」と説明されています。
また、IT人材だけでなく、すべてのビジネスパーソンがDX(デジタルトランスフォーメーション)を理解し、活用するための教育・訓練の指標であるデジタルスキル標準においても「DX推進における業務遂行に必要な人間的側面のスキル」とほぼ同様の説明がなされています。
パーソナルスキルはITやDXに限った能力ではありませんが、ビジネスシーンで求められる人間的側面のスキルが「パーソナルスキル」だと考えてください。
これからの時代になぜ重要なのか
「VUCA(ブーカ)」という用語が、2010年以降からビジネスでも使われることが増えました。
VUCAは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとった言葉で、社会やビジネスを取り巻く環境が目まぐるしく変化し、物事の複雑性や曖昧性が増し、将来を予測するのが難しいような状況を指します。
個人の力のみで変化する社会の流れについていくのは限界があり、ビジネス上のゴールに到達するためには以前よりも組織・チームとしての力が重要になっています。
そして、さまざまな個性や能力を持つチームメンバーをまとめ、目標とするゴールに到達するためにはパーソナルスキルが欠かせません。特にプロジェクトの上流工程に携わる場合、組織・チームを率いる場合は、高いパーソナルスキルが求められるでしょう。
また、VUCAの時代では、求められる職務の内容が変わる可能性も十分にありますし、途中でキャリアプランの変更を決断するケースもあるかもしれません。
そのような社会環境・ビジネス環境の中で、パーソナルスキルを磨くことは、自分自身のキャリアを安定させることにも繋がります。
パーソナルスキルに該当する要素
パーソナルスキルの具体例としては以下のようなものが挙げられます。
【パーソナルスキルに該当する要素】
- コミュニケーション能力
- 交渉力
- リーダーシップ
- 問題解決能力
- 適応力
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、どのような役割においても重要になるスキルです。
相手の話をしっかりと聞き、正確に理解したうえで、自分の考えを伝えることは、人間関係を円滑にします。円滑な人間関係がなければ、他者と協力して仕事を進めるのは難しくなるでしょう。
また、普段から適切にコミュニケーションがとれているなら、誤解からトラブルが生まれるケースも減らせます。
交渉力
仕事を進める際に、関係者の全員が協力的で、すべてが思いどおりにいくということは少ないです。
意見や立場の違いから対立が生じるケースも多く、その場合は、合意形成を図らないといけません。そのようなケースにおいて必要になるのが交渉力(ネゴシエーション)です。
たとえ普段からコミュニケーションがとれている相手であっても、意見が対立すれば交渉が必要になります。相手が置かれている立場や相手の言動の意図を正確に理解して、双方納得のいく落とし所を探っていくスキルが交渉力だと考えてください。
自分たちの立場が有利になるように交渉を進める力はもちろん大切ですし、不利な条件になりそうなときに軌道修正する柔軟性、条件によっては交渉を決裂させる判断力なども求められます。
リーダーシップ
リーダーシップもパーソナルスキルのひとつで、組織・チームをまとめて、目標に向かって集団を動かす力のことです。
リーダーシップを発揮するためには、「適切な目標を設定する力」「ビジョンを共有する力」「メンバーのモチベーションを上げる力」「責任感の強さ」「意思決定力」「優先順位を決め、仕事を割り振る能力」なども必要になるでしょう。
前述のとおり、個人の活躍で出せる成果には限界があります。社会の変化に対応しつつ、ビジネスの目標を達成するためには、メンバーのやる気を引き出し、チームの舵取りができるリーダーがいなくてはいけません。
また、リーダーシップは組織・チームのリーダーに欠かせませんが、リーダー以外も持つべきスキルです。リーダーシップの有無は主体性とも関連しています。
リーダー以外の人材もリーダーシップを身につければ、指示待ちが減り、業務効率アップが期待できますし、メンバーの主体性の向上はエンゲージメントの改善にも繋がるでしょう。

組織・チームの一員として、ほかのメンバーをサポートする意識や行動のことをリーダーシップに対して「フォロワーシップ」と呼びます。
フォロワーシップの発揮には批判的思考(クリティカルシンキング)などが必要で、これもパーソナルスキルのひとつになるでしょう。
現時点でリーダーのポジションにいない方、将来、リーダーになったときに役立つスキルを磨いておきたい方は、フォロワーシップから身につけても良いでしょう。
問題解決能力
問題解決能力とは、企業が抱える問題やその解決策を発見する力のことです。
そのためには、現状を正しく把握して、論理的に物事を捉える思考力や既存の枠組みに捉われずに新しいアイディアを出せる発想力、他者とは異なる視点で物事を見る着眼点などが必要です。
また、仮説を立てて、それを検証する力も問題解決能力に含まれるでしょう。
適応力
適応力とは、環境の変化に柔軟に対応する力のことです。
企業や業界を取り巻く環境は変化しますし、異動や転職などで自身の置かれる環境が変化することもあります。適応力が高ければ、環境が変化しても臨機応変に対応できて、パフォーマンスを維持できます。
また、仕事でトラブルが起きても、冷静に対処できるでしょう。
現代は環境の変化が早く、人材の流動性も高くなっています。そのような時代だからこそ、ビジネスにおける適応力の重要度は以前よりも上がっています。
パーソナルスキルの高め方
パーソナルスキルは業務の遂行に必要な人間的側面のスキルなので、「どうやって高めれば良いの?」と思っている人もいるでしょう。
たしかに、パーソナルスキルは技術的な能力と違って、資格・検定などで客観的に証明するのは難しいです。
ただし、日々の業務や日常生活での意識を変え、行動すればパーソナルスキルは高められます。以下ではパーソナルスキルの高め方について説明していきます。
【パーソナルスキルの高め方】
- 自己分析を行う
- 社内でロールモデルを探す
- 研修やコーチングを受ける
自己分析を行う
パーソナルスキルを高めるうえで重要なことのひとつが自己分析です。
パーソナルスキルにはコミュニケーション能力や時間管理能力、論理的思考などさまざまな要素が含まれます。
そのため、人によっては「他者とコミュニケーションをとるのは得意だけど、時間の管理ができない」ということもあるでしょう。良い部分を伸ばし、悪い部分を改善していくためにも、まずは自分の強みと弱みを把握してください。
例えば、パーソナルスキルを構成する「コミュニケーション能力」などの各要素を書き出して、項目ごとに5段階や10段階で自己評価するという方法があります。
英語やIT系のスキルは資格の有無やテスト結果で実力を測れますが、パーソナルスキルは数値で評価できないケースが多いです。
自分自身の主観で良いので各スキルのレベルを評価し、数値にすることで、「他者より優れていて、強みになる部分」や「改善すべき部分」が分かります。
また、定期的に行うことで、「パーソナルスキルを高めることができているか?」の振り返りにも役立ちます。
社内でロールモデルを探す
職場にパーソナルスキルが高いと思えるような同僚や先輩、上司がいる場合、その人をロールモデルにするというのも有効です。
「自分にはリーダーシップが足りない……」と思っても、具体的にどのような部分に改善の余地があるのかをイメージできないことは多いです。
イメージが曖昧なままパーソナルスキルを高めるのは難しいので、社内でロールモデルとなるような人物がいるなら、直接話を聞いてみたり、その人の行動を真似てみたりしてください。
そうすることでどのような部分がパーソナルスキルの高さに繋がっているかが分かります。
研修やコーチングを受ける
コミュニケーション能力やヒアリング力といった向上させたいスキルが明確に決まっている場合は、ビジネスパーソン向けの研修・セミナーに参加するというのも効果的です。
研修・セミナーには単発で開催されているものもありますが、体系的かつ実践的に学ぶなら複数回のプランが良いでしょう。プランの内容や講師などから、自分に合ったプログラムを探してください。
また、コミュニケーション能力を重視するなら、プロのコーチによる「コーチング」を受けるという選択肢もあります。
コーチングとは、クライアントの目標達成に向けた自発的行動を支援するコミュニケーション技術のことです。
プロコーチは高い傾聴力や質問力を持っています。そのため、「パーソナルスキルを上げる」をテーマにコーチングを受けることもできますし、プロコーチのコミュニケーション技術を参考にするというのも良いでしょう。
コーチングについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみください。


コーチングに興味を持った方は、自分自身にコーチをつけてみたり、専門のスクールで技術を学んでみたりするのもおすすめですよ。
結論|パーソナルスキルを磨いて豊かなキャリア形成を
ビジネスにおいてコミュニケーション能力やリーダーシップといったパーソナルスキルの重要性は高まっています。
パーソナルスキルは職種・業種に関係なく活用できるスキルです。
そのため、パーソナルスキルを磨くことは、今の仕事のパフォーマンスを向上させるだけでなく、今後のキャリア形成にも繋がります。
パーソナルスキルを磨くには「自己分析を行う」「ロールモデルを参考にする」「研修やコーチングを受ける」などの方法があります。
すぐにパーソナルスキルを上げることは難しいですが、日々の業務や生活の中での意識を変え、行動すれば着実にレベルアップしていけるでしょう。

ビジネスパーソンとしての活躍の場を広めたい方は、この記事を参考にパーソナルスキルを磨くことも是非検討してみてくださいね。