リーダーとマネージャーの違いは?役割や仕事内容、求められる能力を解説

リーダーとマネージャー、明確な違いが分からないという方も多いと思います。

今回はリーダーとマネージャーの違いを意味や種類、仕事内容、求められる能力など、あらゆる観点から解説します。

組織運営・人材育成を見直したい方はもちろん、リーダー・マネージャーとして今よりも活躍したい方もぜひ参考にしてみてください。

もくじ

リーダーとマネージャーの違い

リーダーとマネージャーは役割や、関わり人数に違いがあります。

役割

リーダーの役割は、現場のメンバーを主導しながら、目的達成のための方向性を示すことです。
数年先を読むのも難しい現代で、様々な価値観のメンバーが同じ目的に向かって進んでいくために不可欠な存在です。
また、過去の成功体験に経営者が縛られないよう、現状維持ではなく革新を目指すことが期待されます。

マネージャーの役割は、組織のメンバーが最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、障害を排除したり成長を促すことです。
各メンバーの主体性や自立心を引き出し、組織を活性化させます。
部長・課長といった管理職に該当することが多いです。

関わる人数や規模

リーダーとマネージャーは関わる人員の規模も違います。

リーダーは、一般的に数名から十数名の小規模なチームをまとめます。関わる人員がマネージャーよりも少ないので、メンバーと話す頻度が多くなり、コミュニケーションの密度も濃くなります。1人ひとりにきめ細かい対応ができるでしょう。

その一方でマネージャーは、課長や部長クラスの役職であり、課や部など比較的規模の大きい組織をまとめます。管理する人員の数が多い分、リーダーよりもメンバーと関わる機会が減りやすいです。数多いメンバーを管理しながら、自らの業務を遂行しつつトラブルに対処しなければならず、組織での長い経験が求められます。

マネージャーのようにいきなり多人数をまとめるのは難易度が高いです。関わる人員の規模の違いをふまえると、人材育成の観点からはリーダーを経験させて、マネージャーへとステップアップさせるのが現実的でしょう。

リーダーとマネージャーの仕事内容

リーダーとマネージャーは役割の違いに関連して仕事内容にも違いがあります。リーダーとマネージャーの立場について理解を深めるために、それぞれの仕事内容の違いについて解説します。

リーダーの仕事内容

まずは、リーダーの仕事内容について解説します。

人材育成

チームの成果を高めるためにはメンバーの育成が不可欠です。

優秀なメンバーにだけ仕事が集まらないよう、各メンバーの成長を見込んで業務を割り振ります。

苦手な業務ばかり割り振るとメンバーが自信をなくす可能性もあります。長所や短所を見極めて業務を配分しなくてはなりません。

難しすぎる業務を与えるとメンバーが思い悩み、仕事のパフォーマンスが低下する恐れもあります。メンバーの話を聞きながら徐々に業務の難易度を高めることも大切です。

チームの鼓舞

チーム内ではメンバーのやる気が下がることがあります。メンバーが能動的に活動できるよう、チームを鼓舞するのもリーダーの仕事です。

日頃の業務が単なる作業になっているメンバーがいれば、仕事に取り組む意味を考えさせるのが有効です。キャリアに役立つことなどがわかれば、やる気を出してくれるかもしれません。

設定した目標に挫折してしまったメンバーがいれば、達成できそうな目標を一緒に考えてあげるのもよいでしょう。

さまざまな角度からメンバーのモチベーションを上げることが重要です。

メンバーのフォロー

メンバーに割り当てた業務が予定通りに遂行されるとは限りません。組織の目標達成に影響を及ぼさないよう、メンバーの進捗状況を随時確認して、必要に応じてフォローするのもリーダーの仕事です。

ただ、業務をサポートしすぎるとメンバーの自走力を養えなくなります。メンバーだけで業務を完遂できるレベルに到達させるとの意識を持ち、必要最小限のフォローを行います。

メンバーの評価

すでにお伝えした通り、リーダーはマネージャーよりもチームのメンバーと関わる機会が多いです。メンバーの活動を日頃から間近で見ている立場であり、評価者として最も適任です。目標の進捗を振り返って評価し、メンバーの成長を促します。

人事異動や待遇の向上などについては、リーダーではなくマネージャーの判断に委ねられるのが一般的ですが、リーダーの評価も検討材料になる可能性が高いです。

メンタル管理

チーム内では、複雑な人間関係や過度な業務量などによって、精神的に病んでしまう方も出てきます。

メンバーがうつ病を発症してチームから離脱すれば、目的や目標の達成に支障をきたしかねません。

リーダーが日ごろからメンバーの負担を気にかけてメンタル管理をする必要があります。ただ、リーダーが知らないところで悩みを抱え込んでしまうメンバーも少なくありません。

1on1ミーティングを設けるなどしてメンバーが悩みを打ち明けやすい仕組みを構築しておくのが望ましいです。

マネージャーの仕事内容

続いてマネージャーの仕事内容を解説します。

組織戦略の打ち出し

マネージャーの仕事は、組織戦略・事業戦略・人事戦略をリーダーに向けて打ち出すことです。

理想の組織を実現するための方向性、事業で売上を出すための方向性、採用・育成・配置の観点から企業の生産性を高めるための方向性などを明確にします。

組織戦略を打ち出すだけではなく実施状況まで把握し、必要に応じてリーダーにアドバイスやサポートもしなければなりません。

リーダーの選任

マネージャーは組織戦略・事業戦略・人事戦略に基づき、具体的な活動を主導するリーダーを選任します。知識やスキル、経験などをふまえたうえで最適な人材にリーダーを任せます。

メンバーに高圧的な態度をとるような人材を登用してしまうと、メンバーの精神的な負担が増えかねません。仕事ができるだけという理由で選ばず、メンバーから慕われる人柄を有しているかも判断基準にする必要があります。

リーダーの評価

リーダーがメンバーを評価するように、マネージャーもリーダーを評価します。組織戦略・事業戦略・人事戦略に基づく目標を達成できているかチェックします。

リーダーを評価するうえで、メンバーを育成できているか、メンバーとの間でトラブルを起こしていないかどうかも重要な判定基準です。

情報収集のために、マネージャーもメンバーとの面談を定期的に行い、成長度合いや悩みなどをヒアリングする必要もあります。

経営陣と現場の仲介

経営陣は現場に常駐しないケースが多く、経営陣とメンバーが関わることはほとんどありません。そのため、マネージャーが経営陣とメンバーの仲介役を果たす必要があります。

リーダーやメンバーに組織の経営理念やビジョンをわかりやすく伝え、納得したうえで各自の職責を果たしてもらえるようにします。

組織の規模が大きい場合、経営陣が各メンバーの活動を細かく把握するのは難しいです。経営者が正しい意思決定を行えるよう、マネージャーが現場の状況を適切に報告する必要もあります。

研修の推進

マネージャーは、研修を企画してリーダーに実施させ、メンバーの育成を推進します。

たとえば、リーダーに若手メンバーを集めさせ、業務に関する研修会を定期的に開催するよう指示します。

また、リーダーを計画的に育成するために、リーダー自身にリーダー研修を推進することもあります。

研修の推進を通して組織全体のスキルアップを目指すのがマネージャーの仕事です。

リーダーとマネージャーに求められる能力

リーダーとマネージャーは仕事内容の違いに応じて求められる能力も変わってきます。続いてはリーダーとマネージャーの違いを知るために、それぞれに求められる能力を解説します。

リーダーに求められる能力

まずはリーダーに求められる能力を解説します。

判断力

リーダーは現場の最前線で指揮をとる立場であり、刻々と変化する状況に臨機応変に対応してメンバーに指示を出さなければなりません。

マネージャーに逐一確認を取るのは現実的ではなく、可能な限り自分の判断で現場を回すのが一般的です。

したがってリーダーには、最も合理的な結果を素早く出すための判断力が求められます。状況を瞬時に察知して正しいアクションを果敢に起こせる人材が適任です。

行動するまでに考えすぎる人材だとリーダーの立場に苦労するかもしれません。

コミュニケーション能力

リーダーは、さまざまな場面でメンバーに対する説明を求められる立場であり、コミュニケーション能力が不可欠です。

リーダーはマネージャーの指揮監督のもと、目標達成に向けてメンバーを主導します。ただ、目標を掲げるだけではメンバーが具体的な行動をイメージしづらいです。組織の現状とともに目標達成に向けて今行うべきことをリーダーがわかりやすく伝えなければなりません。

また、新人がチームに加われば、業務の手順やポイント、ルールなどを説明する必要もあります。説明がわかりづらければ新人がスムーズに業務を行えないでしょう。

リーダーを選出するときはコミュニケーション能力に着目することが大前提です。

創造力

組織に新しい風を吹き込ませるために、リーダーには創造力も必要です。

すでにお伝えした通り、組織を維持するマネージャーと違い、リーダーは変革によって組織を再生する役割も果たします。実際にリーダーにアイデアを求めるマネージャーも珍しくありません。

メンバーの声を吸い上げて課題が見つかれば、新たな解決策を導き出してマネージャーに提案します。

計画的に業務をこなすのが得意という人材よりも、工夫して業務をこなすのが好きな人材がリーダーに向いているでしょう。

マネージャーに求められる能力

次にマネージャーに求められる能力を解説します。

目標設定能力

マネージャーに求められる能力として目標設定能力が挙げられます。

難しい目標によってリーダーやメンバーに過度な負担を与えたり、的外れな目標によってリーダーやメンバーに無駄な活動をさせたりする恐れがあります。

組織のリソースを適切に活かせるよう、チームの状況を見極めながら最適な目標を設定しなければなりません。

リーダー・メンバーが各自の目標を達成できるよう、マネージャー自身も自分がすべきことを目標に落とし込める能力が必要です。

スケジュール管理能力

マネージャーにとって重要な能力がスケジュール管理能力です。

マネージャーの仕事の基本はスケジュール管理です。組織における予定を日・月・年ごとに細かく管理して、チームで滞りなく計画が遂行されるように、現場の進捗状況を監督しなければなりません。

マネージャーがスケジュール管理に失敗すれば、目標達成が遅れるだけでなく、納期に間に合わず関係者に迷惑をかけることもあります。

スケジュールにルーズな方だと、マネージャーの仕事は務まらないでしょう。

危機管理能力

マネージャーには危機管理能力が求められます。

組織では売上不振や離職、情報漏えい、横領など、さまざまな課題、トラブルが発生するからです。

目の前の業務をこなすだけではなく、潜在的なリスクを察知して未然に対策を講じなければなりません。

万が一危機に陥ったとき、影響を最小限にできるよう、迅速に行動できるフットワークの軽さも要求されます。

リーダーとマネージャーの種類

リーダーとマネージャーの違いを理解するには、それぞれの種類を知ることも役立ちます。続いてリーダーとマネージャーの違いがわかるように、それぞれの種類を紹介します。

リーダーの種類

まずはリーダーの種類から紹介します。

チームリーダー

チームリーダーとは、1つのチームを束ねるリーダーです。チームとは、同じ目的を掲げるメンバーが集まった集団を意味します。

ただ、目的を共有していてもチーム内で意見に食い違いが発生することもあります。メンバー同士が協力し合えるように、チームリーダーがサポートしなければなりません。

グループリーダー

グループリーダーとは1つのグループを維持するためのリーダーです。チームとグループは同じ意味のように思えるかもしれませんが、グループはチームと違って単に同じ場所にいる人々の集団であり、メンバー同士で目的を共有する必要がありません。

したがってグループリーダーの場合は、集団として団結させる責任が薄いという点で、チームリーダーよりも負担が少ないといえるでしょう。ただし、異なる目的を持つ個人が集まる点で、合意形成の負担はチームリーダーよりも大きいといえます。

サブリーダー

サブリーダーとは、集団においてリーダーをサポートする副リーダー、あるいは集団内に形成された下位集団のリーダーです。

リーダーの率いるメンバーが多くなりすぎると、1人ひとりに対して目が行き届かなくなったり、コミュニケーションの頻度が下がったりする恐れがあります。また、リーダーの不在時に集団の生産性が低下する事態もよくある話です。

その点、サブリーダーがいれば、より多くのメンバーを先導できるほか、リーダーの不在による組織の機能不全を防げます。

プロジェクトリーダー

プロジェクトリーダーとは、開発などのプロジェクトを主導するリーダーです。

プロジェクトにおけるタスクをメンバーに割り当て、自分のタスクをこなしながら各自の進捗を把握します。

納期に遅れないよう、トラブルを予測してスケジュールを管理することが基本的な役割です。メンバーの業務に遅れが生じた場合、原因を特定して支援しなければなりません。

マネージャーの種類

次にマネージャーの種類を解説します。

ゼネラルマネージャー

ゼネラルマネージャーは組織と企業経営に深く関わる上位のマネージャーです。

経営トップ層が打ち出した経営方針や戦略を事業計画に落とし込み、必要な人員や資金を適切に配分して実行します。

経営層と同等の立場といわれる管理職であり、経験値の高い優秀なメンバーが任命されます。

エリアマネージャー

エリアマネージャーは、特定のエリアで展開されている複数の店舗を管理するマネージャーです。

小売業や飲食業、サービス業、販売業などの役職として知られており、売上や顧客満足度、スタッフの育成などを管理しながら、エリア内での目標達成を目指します。

本部と店舗の橋渡し役でもあり、本部の方針やビジョン、指示などを各店舗に素早く伝達します。

ミドルマネージャー

ミドルマネージャーとは、経営層と社員の間を仲介する中間管理職と呼ばれるマネージャーです。

基本的に経営に関する責任は持っていません。経営層と円滑にコミュニケーションを交わしながら、部下をまとめつつ組織の目標達成を目指します。

働きやすい職場を作るためにハラスメントの予防も行わなければなりません。

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーとは、プロジェクトの計画や進捗管理などを行うマネージャーです。

立案した計画に基づきプロジェクトリーダーを采配し、プロジェクトの実行を指示します。複数のプロジェクトを管理する場合、各プロジェクトリーダーから進捗の報告を吸い上げます。

受託会社であれば、社外の関係者に進捗も報告し、発生した要望を組織内で伝達しなければなりません。

リーダーとマネージャーの違いについて理解を深めるQ&A

リーダーとマネージャーの違いについてさまざまな観点から解説しました。さらにリーダーとマネージャーの違いについて理解を深められるよう、リーダーとマネージャーに関連するよくある質問に回答します。

Q1.リーダーは役職ではない?

A1.メンバーを先導する役割を果たしていても、リーダーは役職ではないとされる場合もあります。

組織のメンバーは、明確に役職が与えられないと、責任感が薄くなる恐れもあります。

リーダーの役割を果たせる人材がいれば、今回紹介したサブリーダーやプロジェクトリーダーなどのように、役職を意識させるポジションを明確にして与えるとよいでしょう。

ただし、明確な役職としてリーダーの立場を任せる場合、平社員と同じ待遇では不満を持たれるリスクが高まります。役割の重さに応じた報酬を設定することも重要です。

Q2.リーダーとマネージャーはどっちが上?

A2.本来、リーダーとマネージャーの役割には上下関係がありません。

リーダーとマネージャーは組織を正しく前進させるための両輪であることをお伝えした通り、それぞれの役割には上下関係がありません。

ただし、日本社会におけるリーダーとマネージャーの役職には、形式上の上下関係があります。

一般的に、主任や係長など比較的低い役職がリーダークラス、事業部長や執行役員などの比較的高い役職がマネージャークラスとして認知されています。

リーダーがマネージャーに指示をするのではなく、マネージャーがリーダーに指示をするのが一般的です。

その点をふまえると、役職の観点からはマネージャーがリーダーより上の立場であるとわかります。

Q3.リーダーとマネージャーは兼任できる?

A3.可能です。マネージャーがリーダーを兼任することもあります。

今回紹介したプロジェクトマネージャーが、プロジェクトリーダーを兼務するケースも珍しくありません。部長自らメンバーとともにプロジェクトを実施するケースがよい例でしょう。

少子高齢化による人材不足で、リーダーとマネージャーの兼任は増え、リーダーとマネージャーの区別が薄れているという見方もあります。

日本の人口構造が変わらない限り、今後はマネージャーがリーダーを兼任する体制まで想定しておいたほうがよいかもしれません。

Q4.リーダーとマネージャー以外によく聞くチーフの意味は?

A4.チーフは主任を意味するポジションです。

チーフは指示や指導を受けずに担当業務を完結できる立場であり、現場のサポートを行うサブリーダーの役目も果たせます。マネージャー職ではありません。

主任と聞くと係長との違いも気になるかもしれません。

係長は現場組織の最小単位である係を監督するリーダーであり、チーフは係長より立場の低いリーダーとして位置づけられています。

まとめ

リーダーは目標達成や課題解決に向けて周囲のメンバーを主導する先導者です。メンバーの主体性や自立心を引き出し、組織を活性化させる役割を果たします。

その一方で、マネージャーは円滑に組織を運営できるようにリーダーとメンバーを管理する管理者です。ビジネスモデルを回し事業を推進して収益を高める役割を果たします。

リーダーとマネージャーの違いを理解することで、リーダー・マネージャーは組織に正しく貢献できますし、経営者としては最適な組織づくりの方向性を明確にできます。

本記事で学んだリーダーとマネージャーの違いを各々の立場で組織活動に役立ててみてください。

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