地面を歩いていた私が、羽を広げて飛びはじめた──育休中に出会った、自分軸とコーチングの旅

育休中の時間を「人生を楽しんでいる」と語る、さくほさん。

製薬会社で10年間営業として働いたのち、子どもと“共に育つ”ことを選び、心と向き合う豊かな時間を過ごしてきました。

そんな彼女がコーチングと出会い、自分を知り、他者との関わり方が大きく変わっていった軌跡には、「迷いが減って、選択が早くなった」「アドバイスすることを手放せた」「直感を信じられるようになった」…そんな等身大の実感があふれています。

肩の力を抜いて“自分らしく選ぶ”ことができるようになったさくほさんに、その背景にある気づきと変化を伺いました。

木下 朔步(きのした さくほ)│木陽合同会社

「育休を謳歌して、人生を楽しんでいる」──“共に成長する”子育ての日々


――まずは、今のライフスタイルについて教えていただけますか?

何をしている人かと聞かれたら、「育休をすごく謳歌して、人生を楽しんでいる人です!」って答えると思います(笑)。

元々は製薬会社で新卒から営業職をずっとやっていました。10年くらいかな、育休に入るまでは、いわゆる“サラリーマン”として日々を送っていました。所属は会社員なんですが、育休に入ってもう3年ほど会社を離れていて、今は子どもと向き合う時間をとても大切にしています。

子育てといっても、「育ててあげている」というよりは「共に成長していく」という感覚があって、すごく楽しく、充実した時間を過ごさせてもらっているなと思います。なので、「幸せのお裾分け」じゃないですけれど、今は自分が得た知識であったり、触れ合った人々に、「これはいいな」と思えるものを広めたり、自分なりにできる新たな社会との繋がりを求めて色々やっているところです。

――コーチングを学ぶ前は、自己理解に関心があったと伺いました。そこからどんなふうにコーチングへとつながっていったんですか?

正直、最初から「自己理解をしたい!」という意欲が強くあったわけではなかったんです。でも、育休中に夫とこれからの生き方について話す機会が増えて。「自分はこうしていきたいんだけど、さくほはどう思ってる?」って何度も聞かれて、最初は「あなたや子どもが幸せなら十分」って答えていたんです。

でも夫は、「もっとさくほ自身が何を感じているのかを知りたい」と言ってくれて。もう、まさに私のコーチは夫という感じです(笑)。彼自身はコーチングを学んでいるわけではないんですが、内省するのが上手で、自然とコーチング的な問いかけをしてくれる人なんです。おもしろいのが、夫が私に合いそうなものを調べていく中で「コーチングっていう仕事があるらしいよ」って教えてくれたのが、私とコーチングの最初の接点でした。

夫はいろんな角度から私に自己理解を促してくれて、その流れで、ストレングスファインダーをやってみたのをきっかけに「コーチングはさくほに合いそう」と私も夫も思うようになって、コーチングを学ぼうと思いました

――コーチングのどんなところが「合いそう」と思ったのですか?

私はもともと人が大好きで、人の話を聞くのが本当に好きなんです。相手の話を聞いていると、自分の知らなかった世界がどんどん広がっていく感じがして、すごくワクワクするんです。

それに私は、基本なんでもポジティブに受け取れる性格で、人のいいところを見つけるのが得意。そんな自分の特性を活かしながら、人を元気にしたり、明るくしたりできるような世界で生きていきたいという想いがずっとあって。そこにぴったり合うのがコーチングだと感じたんです。

アドバイスをやめたら、関係が変わった


――実際にコーチングを学んでいく中で、ご自身の中にどんな変化がありましたか?

大きな変化は、「アドバイスをしなくていいんだ」って思えるようになったことです。

もともとの私は、「これ、絶対いいから!」って思ったことはすぐに人に勧めたくなるタイプで。相談を受けても「こうしたらいいんじゃない?」って、アドバイスをするのが当たり前だったんです。でも今思えば、それって相手のためというより、自分の“よかれ”の押し付けだったのかもしれません。「こんなにいいと思ってるのに、なんで受け取ってもらえないんだろう?」っていうのが、それまではすごく葛藤だったんです。

でもCAM Japanで学ぶ中で、「価値観も信念も、生きている背景もみんな違う」っていうことが、実感として腑に落ちていって。たとえ自分が「これはいい」と思っても、その人にとってはフィットしない可能性がある。そう思えるようになってからは、葛藤が薄らいできたように思います。

今でも「これよかったよ」って言うことはあるけれど、そのあとの相手の反応に興味が湧くようになりました。どんな反応であっても、「なんでそう感じたんだろう?」って、その言葉の奥にある背景に意識が向くようになりました

人に自分がいいと思ったものを提供したいとか、より幸せになってほしいと思った時に、押し付けるんじゃなくて、「どうやったらその人に馴染んでいったりフィットするのかな」という視点をもてるようになったのは、変わったところですね。それがすごく良かったなって感じるようになりました。

それまで私は、「アドバイスをしなきゃ自分の価値はない」という風に思っていたことにも気がつきました。でも、コーチングを学んでみたら、「あ、そうじゃない世界もあるんだ」と思って。「人は才智にあふれている」というコーチング哲学に出会って、悩んでいる最中の人だって、自分で答えにたどり着ける力があるって信じられるようになってからは、無理に何かをしてあげなくてもいいんだなって思えるようになりました

「コーチングと脳科学」クラスと“自分の世界の小ささ”への気づき


――CAM Japanでの学びの中で、特に印象に残っているクラスや言葉はありますか?

すごく印象に残っているのは、「コーチングと脳科学」のクラスです。

教科書の冒頭にあった「人間の脳はもともと楽観的にできている」という言葉に、すごくハッとさせられて。「ああ、人は恐れとか不安とかがなかったら、楽観的でポジティブな存在なんだ」と思って。

たしかに、うちの子どもも、何の不安もなく、自分を信じて目の前の世界に飛び込んでいくんですよね。その姿を見た時に、私たちの本来の状態って、本当はああいうふうに軽やかで、前向きで、安心感に満ちているんじゃないかなって思ったんです。”いいアドバイス”があるからではなくて、自分の中に溜め込んでる怖さや不安がなくなった時に、人はもっと軽やかに自分らしく、楽しい人生を歩めるのかなっていうのがストンと落ちてくる感じがしました

同じクラスで学んだ「毛様体賦活系(RAS)」の話も印象的でした。

脳は自分が興味のある情報しか受け取らないし、そこから得た情報をもとに世界を見ている。「私が人に伝えていた“アドバイス”も、実は自分の超ミクロな世界の中での話じゃん!」って思って。そのミクロな世界のアドバイスが正解になることもあるかもしれないけど、クライアントさんがご自身で見つけに行く世界の正解の方がよっぽど正しいし、やっぱり自分で正しいと思ったとこに行きつくと原動力になるし。「自分で見つけて掴んだもの」っていうのがすごく大事だなと思いました。

私が人の話を聞くことが好きな理由の一つは、多分自分の世界の小ささを心の底では知っていたからなんじゃないかと思うんです。自分の知ってるものや環境、世界なんてほんのちっぽけな部分だっていう思いがあるから、人の話を聞いたり、旅行に出かけたりするのがすごい好きなんですよね。

そこに探求心や欲求みたいなのは元々あったけども、それを人と自分が関わる時にはあんまり意識してなかったなっていうのを感じて。CAM Japanで学んだことで、そのことに意識を向けられるようになったのも良かったと思います。

「私はこうしたい」──直感と才能に従って、迷わず動ける自分へ


――コーチングの学びを通して、ご自身の中で変化したことはありますか?

1番変わったのは、選択するスピードが早くなったことと、自分軸で選べるようになったことです。

前までは、「会社のために自分は何ができるか」っていう考え方をしていたんですけど、今は「自分の才能や強みをどう社会に還元していくか」っていう、自分から出発する思考に変わった感覚があります。だから、選ぶときに「人の目がどうか」とか「周りがどう思うか」を気にせずに、自分にとって心地いいかどうかで判断できるようになったと思います。

今年に入って、ある地域団体に入ったんですけど、最初から違和感があって。でも高いお金も払ったし、悪い人たちでもないし…って、3ヶ月くらい悩んでいました。その一方で、ちょうどCAM Japanのメンターとして基礎クラスに参加させてもらうようにもなって、地域団体とメンターを両立する難しさも生まれてきて、しんどさを感じていたんです。

そんな中でCAM Japanのリトリートの旅に参加して、みなさんと対話したことで、「あ、この違和感を抱えたまま続けるのは、自分にも相手にも良くないな」って思えたんです。で、「私の性格上、同時に二つのことは抱えられない」「だったらメンターに集中しよう」ってスパッと決められた。

それが、前の自分には絶対できなかった決断でした。多分前の私だったらその組織にずっといて、「なんか経験したら見えてくるものがあるはず」「経験しないと分からないでしょ」と考えて「まだわかんない、まだ判断が早い」とずるずるいってしまったと思うんです。

――その判断の背景には、「直感を信じる力」もあったんですね。

そうですね。私はもともと直感で動くタイプなんですけど、どこかで「ちゃんと考えて、理論的に判断しなきゃ」って思いがあって。だから違和感だけで動いちゃいけないって、自分の感覚を否定してたんですよね。

でもリトリートの旅で、やっぱり私は直感で動くのが得意なんだっていうのを認められたというか。「この感覚って、私の強みかもしれない」って思えて、そこからは「信じて動いてみよう」って腹をくくれた感じがあります。

感覚で動いてるって言うと、ちょっとふわっとしてるように聞こえるけど、でも今は「それでもいいじゃん」って思える。私は理論派じゃないし、整理して考えるのも得意じゃない。その弱さも認めて受け入れつつ、その代わりに感覚がすごく働いているんだったら、そこを活かして信じてやってみようよって思えて、ふっきれました。今は、「みんながみんな理論派だったら面白くないじゃん!」くらいに思っています。

自分の強みとか、自分軸で考えれるようになってきたことに加えて、リトリートという旅での出会いと経験があって、すごく大きな決断を早くするっていう、今までの自分はできてなかったものができたなっていうのを感じられました。

――そうした変化を経て、今の自分をどんなふうに感じていますか?

めちゃくちゃ自由です(笑)。前はずっと地面を歩いていた感じだったけど、今は羽を生やして、空を自由に飛んでいってるみたいな感覚。別に、前が生きづらかったわけじゃないけど、今はより軽やかで、行きたい方向にスッと飛べるようになった

「私はここがいいんだから、こういうことをやっていって人を幸せにしていこう!」みたいなことを考えて選択できるっていう感覚なんですかね。迷った時にも人の目を気にするんじゃなくて、「自分はこういう人間だから、この選択の方が自分には心地いいはず」とか、「自分はこんな風に社会のためになるはず」みたいな、そういう意味での「自分」っていうワードがすごく大きい感覚がありますね。

周りから「なんでそんなにイキイキしてるの?」と言われたことがあるんですけど、それがめっちゃ嬉しくて(笑)。育休中に色々考えて、CAM Japanでの学びを経て、今のこの生きやすさという感覚を手に入れられたと思っているんですけど、そういうのって外に現れるんだな、ばれちゃったな、みたいに思いました(笑)。その時に、「迷いなく自分軸で生きられたら、楽しそうに見えるんだ」っていうのを客観的に教えてもらった気がしています。

同時にそれを聞いて、私の周りでちょっと生きづらそうな方や、「”まあまあ”幸せだよ」て言ってる方をみて、「心から『めっちゃ幸せ』って言い切れる人はなかなかいないのかな」って思いました。『めっちゃ幸せ』を感じる経験をしている私だからこそ、そして直感が私の強みだからこそ、それらを活かして、コーチングっていうツールを通して人に寄り添うことができたらいいなと思います

得意を交換する社会をつくりたい──これからのビジョン


――コーチングの学びから色々な変化や体験をされているさくほさんですが、今後のビジョンは何ですか?

これからは、「得意と得意の交換をしていきたい」っていう想いを持っています。私はコーチングが得意だから、それを誰かに届ける。その代わりに、その方が持ってる得意なもので私にお返ししていただく。そういう、お金じゃない循環をつくっていきたいなと考えていて。

たとえばこの前、パン屋さんをやってる方から「コーチングしてほしい」って言われたんです。セッションが終わったあとに「お金どうしたらいいですか?」って聞かれて、「じゃあパンで返してください」って言ったら、めっちゃパンもらえて(笑)。
すごい嬉しくて、「このシステム、めっちゃいいやん!」って思ったんです。

お返ししていただくのは、もうすでにある得意でもいいですし、コーチングの中でその方の「新しい得意」を見つけられるかもしれないですし。もう見つけてるけど1歩踏み出せてない得意が実はあるっていう方だったら、「じゃあ私にその得意をまずやってみてよ」って言えるので、その方の自信にもつながるかもしれない。コーチングで人の変化や成長する瞬間に立ち会いながら、お金じゃない循環をつくっていく。そんなことをやりたいと思ってます。

もちろん、こういう関わり方ができるのは、夫が家計の土台を作ってくれてるからでもあって。前は「自分も稼がないと価値がない」って思っていましたし、家庭の中で「稼ぐ・稼がない」みたいな話になると、家庭内のヒエラルキーというか上下関係みたいなものが生まれるんじゃないかという不安がありました。

この気持ちを割り切るのには結構時間がかかったんですけど、ちゃんと夫と話し合えたことで、夫はそんなふう思っていなかったということもわかって。夫と対話をして、「得意なものは得意な人に任せればいい、夫の方が稼ぐのは得意なら夫にそれは任せて、私は私が得意なもので補えばいい」という感覚が私の中にストンと落ちて

だから私は、家庭がいい雰囲気になるように、私自身も楽しんでいることが1番いいっていうことに気づけました。お互いに話し合いができて役割分担ができたので、夫婦で話し合うことやパートナーシップの大切さも感じていますし、夫にもとても感謝しています。

これから学ぶ人へ「答えを急がず、旅を楽しんで」


――これからCAM Japanで学ぼうとしている人や、学びの途中にいる方へ、何かメッセージがあればお願いします。

めっちゃ難しいですね〜(笑)。でも、これもきっと難しく考えなくてよくて、私らしく出てきた言葉で言うと……

学んでいく中で、やっぱり「人は想像力と才智に溢れていて、欠けのない存在」なんだっていうことを、自分にも相手にも、心の底から思えるようになる。それを自分の命が訴えているように感じられる瞬間があるんじゃないかなって思うので楽しんでください!って言いたいです。

でも最初の基礎クラスでは、正直「なんだこれは?」ってなると思うんですよ。私もそうでした。「学びながら馴染むよって言われたけど、全然馴染まないんだけど!?」って(笑)。

私は「コーチ的コミュニケーション基礎」「コーチ的ミュニケーション統合」「コーチングと脳科学」「コーチングと3つの変化」という順番で4つのクラスを受講したんですけど、全体を通して少しずつ、じわじわと体に馴染んでいく感覚がありました。脳科学のクラスは科学的な話も多かったので「ガチッ」とくる感じがあって、そこで「お、来た!」と思ったのを覚えています。

今って、答えを急ぎたくなる時代じゃないですか。すぐに分かりたいし、すぐに変わりたい。でも、そうじゃない世界もあるよっていうことを前提に、なんか本当に「未計画の旅」みたいな感覚でCAM Japanでの学びを味わって、ぜひ楽しんで欲しいなと思います。


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